読書嫌いも本好きにも!レベル別に紹介する【おすすめ短編小説 男性作家編】

電車の中や就寝前など、たまにはスマホから離れてゆっくり読書もおすすめ。短時間で気軽に読める短編小説を紹介します。 男性作家の短編小説なので、ミステリーやブラックユーモア、コメディなど、くすりと笑えるお話が多め

にやにや笑いが止まらない…東野圭吾 『歪笑(わいしょう)小説』

ジャンル:ユーモア
著者:東野圭吾(ひがしの けいご)
出版社:集英社文庫
万人向け度 ★★★★★

日本で最も売れているミステリー作家の1人、東野圭吾の作品小説業界をネタにした、ブラックユーモアが光る短編小説集だ。
新米編集者が初接待ゴルフで知った、「伝説の編集者」の仕事ぶりや、自作のドラマ化に舞い上がる作家など、ニヤリと笑える話が多数。
東野圭吾の簡潔な文章はとにかく読みやすく、話のテンポもよく、長さも適度で、小説初心者にもおすすめ。シュールな話の中に、時には予想外にホロリとくる話もある。

ぞくっと怖くて切ない話がいっぱい…乙一 「ZOO」

ジャンル:サスペンス・ホラー
著者:乙一(おついち)
出版社:集英社文庫
万人向け度 ★★

ちょっと暗くて切なく、エンターテイメント性が高いのが乙一作品の特徴。でもこの『ZOO1』『ZOO2』の短編集は、グロテスクなシーンも含まれるので万人にはおすすめできない。
『ZOO1』の「SEVEN ROOMS」は、謎の犯人に拉致監禁された姉と弟の話だが、気をつけないとトラウマになりそうなレベル。ただ、ページをめくる手が止められないくらい面白い。
乙一は文体が軽めで読みやすいため小説初心者にもおすすめだが、本好きにも十分耐えられる独特の世界観を持つ作家。

『三冠達成』とあるが、万人ウケはしない…米澤穂信『満願』

ジャンル:ミステリー
著者:米澤穂信(よねざわ ほのぶ)
出版社:新潮文庫
万人向け度 ★★

『満願』2015年に「ミステリが読みたい!」(早川書房)、「このミステリーがすごい!」(宝島社)、「週刊文春ミステリーベスト10」(文芸春秋)の国内部門で1位に選ばれ、史上初の3冠を達成した本。これだけ聞くと皆が飛びつきそうだが、あまり万人ウケはしない内容なので、小説初心者にはおすすめしない。
6つのミステリ短編が入っているが、どれもじわじわと不気味な印象で、とにかく濃い話。ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる短編「万灯」は、既視感のない新しい短編を求めている人には特におすすめ。だが決して読後感は良くなく、「面白かった!」と本を閉じられるような類の話ではないので注意が必要だ。

軽妙な王道エンターテインメント…奥田英朗 『イン・ザ・プール』

ジャンル:ユーモア
著者:奥田英朗(おくだ ひでお)
出版社:文春文庫
万人向け度 ★★★★★

ドラマ化もされたエンターテインメント作品で、第四回大藪春彦賞受賞、「このミステリーがすごい! 」で二位。
色白で太った精神科医、伊良部一郎が巻き起こす患者とのやりとりは、失笑・爆笑間違いなし。プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…さまざまな患者が病院を訪れる。コミカルで軽妙な文章に、テンポよく話は進むので、スキマ時間にもおすすめ。日常を忘れて元気になれる一冊。

伊坂幸太郎が苦手でも、おすすめできる一冊…伊坂幸太郎『死神の精度』

ジャンル:ユーモア
著者:伊坂幸太郎(いさか こうたろう)
出版社:文春文庫
万人向け度 ★★★★★

『死神の精度』は、クールだが、どこか受け答えがずれている奇妙な死神・千葉がであう人々の人生。表題作は、日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した。
伊坂幸太郎と言えば、有名作『オーデュボンの祈り』が有名だが、かかしがしゃべるという設定から脱落してしまった人も多いのでは。もってまわった言い回しや独特の世界観が、読み手を選んでしまう伊坂幸太郎だが、この『死神の精度』は万人におすすめできる一冊。死をめぐる連作短編集だが、軽妙な文章で読後感は爽やか。ちょっと頓珍漢な死神・千葉も、魅力的な愛せるキャラクターになっている。

ミステリー玄人読者向けの変化球…綾辻行人『どんどん橋、落ちた』

ジャンル:ミステリー
著者:綾辻行人(あやつじ ゆきと)
出版社:講談社文庫
万人向け度 ★

5つの問題編と解決編に分かれた、ミステリの問題集のような作品。この小説に、社会背景や深い人物像、リアリティなどは一切期待してはいけない。ただ「誰がどうやって殺したのか」というのを、純粋に頭を働かせて推理する。
たくさん本を読んできたミステリー通だからこそニヤリとできる場面も多く、また自分の推理で真相を当てられた時の爽快感はクセになる。

みずみずしい文章と軽い読み心地で、クセのない平均点ミステリ…本多孝好『MOMENT』

ジャンル:人間ドラマ
著者:本多孝好(ほんだ たかよし)
出版社:集英社文庫
万人向け度 ★★★★

病院で掃除のアルバイトをする「僕」が主人公。末期患者が死ぬまでにしておきたいたった一つの願いを、手伝って叶えることになるが…。
設定はありきたりだが、読者にとって入りやすいともいえる。死をめぐる連作短編集だが、よくある感動エピソードに終始せず、ややブラックなオチもつくところは好みが分かれるところだ。
ただ、著者独特のみずみずしい文体や、主人公やヒロインの飄々としたキャラクターは魅力があり、シリーズ全体でファンがいるのもうなずける。難解なストーリーではなく、小説全体の雰囲気もスマートなため、小説初心者にもおすすめできる一冊。

春樹ワールドを一瞬だけのぞいてみる?…村上春樹『女のいない男たち』

ジャンル:恋愛人間ドラマ
著者:村上春樹(むらかみ はるき)
出版社:文春文庫
万人向け度 ★★

人によって好き嫌いがはっきりと分かれる村上春樹だが、有名な長編小説を読んでみる前に、最初にこの短編集にトライしてみることをおすすめする。
この本の中に収められている6編は、死別や失恋で女のいなくなった男たちをテーマにしている。
ただ、相変わらず村上春樹ワールドが全開で、思わせぶりだったり気障だったりオチがなかったりくどかったりなので、空き時間に一つずつ読み進めていくのがおすすめ。個人的には3つ、4つくらいは面白いお話があったので、まずまずのヒット。

地味だけどトップレベルの名作!本格的な刑事物…横山秀夫『第三の時効』

ジャンル:刑事ミステリー
著者:横山秀夫(よこやま ひでお)
出版社:集英社文庫
万人向け度 ★★★

硬い文章なので、本が苦手な人はちょっと読みづらく感じるが、刑事たちの本格的な逮捕劇などがテンポよく描かれた短編集が「第三の時効」
派手なドラマとか、目立つキャラクターとか出てくるわけでなく、全体的にとにかく地に足がついた地味な小説。でも、軽い文体のライトノベル全盛期の今となっては、こういう硬派な小説はかえって貴重で味わい深く、家にずっと残しておきたくなる一冊。


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